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予防方法と治療法

予防法・気をつけたい生活習慣

CKDの発症は、日々の生活習慣と密接な関係があります。

つまり、CKDの発症や進行を抑えるには、まずは日々の生活習慣を改善することが大切ということです。
禁煙・節酒・適度な運動を心がけ、不規則な生活をなるべく避けましょう。

CKDの発症や進行を抑える生活習慣は、いわゆるメタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満・高血糖・高血圧・脂質異常)を抑える生活習慣と類似しています。
すなわち、生活習慣病を引き起こすような生活を避けることが、CKDの予防にも繋がります。

肥満にならない

肥満になると腎臓に流れる血液の量が増えて、腎臓に多大な負担をかけてしまいます。また、たんぱく尿の要因にもなります。 塩分や脂質の摂り過ぎに注意をして、バランスの取れた食生活を心がけましょう。

禁煙しましょう

頭痛、不眠、痙攣、意識障害喫煙はCKD(慢性腎臓病)の発症・進行に関与していると考えられます。
また、心血管疾患など様々な病気の危険因子でもありますので、まずは禁煙することが重要です。

適切な運動

糖尿病や高血圧の発症を抑えたり、適正な体重を維持するためにも、体を動かすことが重要です。 自分の体力や体調に合わせて、適度な運動を定期的に行いましょう。

適量以下の飲酒(節酒)

適度な飲酒は危険因子とはなりません。 しかし、過度の飲酒は慢性腎臓病や末期腎不全の危険因子となります。お酒は適量に抑えて、飲酒しない日も設けるようにしましょう。

不適切な生活を避けましょう

無理な残業などにより過労をさけて充分な睡眠をとりましょう。 ストレスも大敵です。

良い食習慣

塩分を抑え、食べ過ぎを控えるようにしましょう。 また、緑黄色野菜の摂取を心がけ、規則正しい食事をして、なるべく間食はしないことが大事です。

日常生活でチェックするポイント

慢性腎臓病は20歳以上の成人8人に1人が羅患していると考えられ、新たな国民病とも言われています。誰もがかかる可能性のある病気なのです。
日常生活で以下の点をチェックしてみましょう。心当たりがあれば、早めに腎臓専門医を受診しましょう。

尿の色や臭いはどのようなものでしょうか?

健康な尿の色は、体内の水分量次第で色は薄くなったり濃くなったりしますが、単黄色や単黄褐色です。もし赤褐色や茶褐色の場合、赤血球が混じった血尿と考えられます。また、白濁や泡が立つ尿も要注意です。臭いにも気をつけてみましょう。 健康な尿はほぼ無臭ですが、鼻をつくような臭いや甘酸っぱい臭いには気をつけましょう。

むくみ(浮腫)

顔や足にむくみは出ていませんか?
腎臓病になると体内の水分・塩分の調整がうまくできなくなり、
水分がたまってむくみが生じます。
そのむくみが顕著に現れるのが顔と足です。

血圧の管理

高血圧には注意が必要です。 腎臓病の大きな原因であり、脳卒中や糖尿病など様々な病気の原因にもなります。 もし高血圧と診断された場合は、放置せずに血圧を測って自己管理しましょう。 降圧薬を服用している人は勝手に服用をやめず、医師の指示に従って下さい。

肥満の予防

太り過ぎていないでしょうか? 肥満になると腎臓に流れる血液の量が増えて、腎臓に負担をかけることになります。 また、たんぱく尿の要因にもなります。 塩分や脂質の摂り過ぎに注意をして、バランスの取れた食生活を送るようにしましょう。

感染症に注意しましょう

風邪や泌尿器の細菌感染が腎臓病の原因になることもあります。 うがい・手洗いを習慣とすること、毎日入浴して清潔を保つことを心がけましょう。

CKD(慢性腎臓病)の治療の基本

病状がかなり進んでしまうまで自覚症状が現れないところです。
慢性腎不全は進行性の病気であり、全快することはありません。
現状維持と合併症予防が治療の主な目的となります。
そのため、日常的な食事療法(食事制限)や薬物療法、安静療法などで常にケアをしていく必要があります。

慢性腎不全(保存期)の治療

食事療法・薬物療法の他、日常生活での心がけも必要となりますが、基本は食事療法と考えて下さい。
食事療法は慢性腎不全において最も重要な治療法のひとつです。
腎臓の役割は老廃物を排泄することですので、たんぱく質の摂取量を抑えると腎臓への負担も軽減されます。
体質や体格によって摂取制限量が異なるため、医師や管理栄養士の指示に従うことが前提となります。

食事療法について

たんぱく質の制限

たんぱく質は体内で分解されると8割近くが老廃物となります。

腎臓の役割は老廃物を排泄することですので、たんぱく質の摂取量を抑えると腎臓への負担も軽減されます。 体質や体格によって摂取制限量が異なるため、医師や管理栄養士の指示に従うことが前提となります。

<たんぱく質の摂取目標>1日標準体重あたり、

ステージG3a:0.8~1.0g例:体重60Kgなら/1日に48~60g

ステージG3a以上:0.6~0.8g例:体重60Kgなら/1日に36~48g

CKDの重症度分類はこちら

塩分制限

高血圧を抑える目的があります。
腎機能低下は塩分の排泄機能低下にも繋がりますので、体内の塩分濃度が上がって高血圧を招いてしまいます。
ただ、塩分は体を維持するためには欠かせない成分でもあるため、過剰な摂取制限はかえって体に良くありません。
医師や管理栄養士の指示のもとで過不足無く摂取することが大切です。

食塩の摂取は3g/日以上6g/日未満

十分なカロリー摂取

たんぱく質を制限すると、どうしてもカロリー不足になってしまいます。
カロリーが不足すると体内のたんぱく質が分解されることになりますので腎臓に負担をかける老廃物が増えてしまうことになります。
そのため、脂質や糖質などで栄養不足(カロリー不足)を補う必要があります。
こちらも医師や管理栄養士の指示に従うことが前提です。

CKDの患者さんのエネルギー必要量は健康人と同程度で良いです。
25~35Kcal/Kg体重/日が 推奨されます。

水分補給に注意しましょう

むくみがある場合などは水分量を抑える必要がありますが、腎不全の方は基本的に水分保持能力が低くなっています。
脱水症状に注意する必要がありますので、状態に応じて水分量の増減を調整しなくてはなりません。

摂取した水分が適切に排泄されないとむくみが発生します。
一方で尿毒素を濃縮して排泄することが難しい状態である場合には、水分摂取量を増やすことで排泄を促す必要があります。
医師の指示に従って、尿の量が1日1,500ml程度になるように水分量を調整することになります。
清涼飲料水、ファストフードの過剰摂取は避けましょう。

カリウム・リンの制限

腎機能が低下するとカリウムやリンを排泄する機能も低下します。
そのため、血中のカリウムやリンの濃度が高くなってしまうので、摂取量を抑えなくてはなりません。

カリウムを多く含む食物はバナナ・夏みかん・メロン・スイカ等の果物類です。
野菜でもサトイモやカボチャ、白菜、キャベツ、カブなどにはカリウムが多く含まれています。
カリウムは水に晒すと抜ける性質がありますので、野菜はなるべく細かく刻んで水の中にしばらく放置してから調理するようにします。

リンは乳製品やレバー、しらす、ししゃも等に多く含まれています。
また、食品添加物として用いられるリン酸塩を含む加工食品や清涼飲料水、ファストフードの過剰摂取は避けましょう。

末期腎不全(透析期)の治療

腎不全も末期まで来てしまうと、腎臓の働きの一部を補う腎代替療法と呼ばれる<血液透析・腹膜透析>、そして根治治療である<腎臓移植>の3つの治療法があります。

十分な睡眠時間の確保と、規則正しい生活を送ることが予防と治療の基本になります。会社勤めの方は、残業や付き合いなどがあり生活のリズムが崩れがちになるので、十分に注意することが大切です。

血液透析について

機械に血液を通し、血液中の老廃物や不要な水分を除去し、血液をきれいにする方法です。

日本では血液透析を選ぶ患者様が圧倒的に多くなっており、末期腎不全の治療法として主流となっています。 一般的な血液透析の場合、透析を行う施設へ1週間に2~3回程度通い、1回におよそ4時間程度をかけて血液を浄化します。

血液透析の仕組み

血液透析は「Hemodialysis」を略して「HD」とも呼ばれます。 血液透析は、血液を体内から外部へと出してダイアライザー(人工腎臓)を通し、血液をきれいにして再び体内に循環させます。

1分間に約200mlの血液を取り出す必要があるため、一般的には利き腕の反対の腕の手首に近い部分に、<シャント>と呼ばれるど動脈と静脈を吻合(ふんごう)した血管を作成します。この血管を穿刺(せんし)して血液を取り出します。シャント作成手術は局所麻酔で約1~2時間程度を要します。

様々な血液透析療法

透析施設での血液透析は、週3回・1回4時間程度が標準的と言われています。 しかし、本物の腎臓の働きに近づけるために、透析時間を長くしたり、回数を増やしたりする方法があります。 その他、自宅に透析機器一式を導入して患者様自身で透析を行なったり、より多くの老廃物を除去する方法など、様々な種類があります。 担当医とよく相談して、希望する治療法を選ぶことが大切です。

また、血液透析に濾過を加えたHDFという治療法もあります。HDFでは濾過する量を増やすために補液をし、血液透析より濾過を多量に行うことで血液透析では取り除きにくい半透膜の穴の大きさに近い、低中分子蛋白といわれる物質を取り除くことができます。 HDFのなかでもオフラインHDFとオンラインHDFという方法があります。オフラインHDFは瓶や補液バックに入った薬剤を補液として使用するので濾過するために足される補液量は少なく、オンラインHDFは透析液をそのまま補液として使用するため、濾過するために足される補液量が多くなります。そのためオンラインHDFのほうがより多くの濾過をかけることができ、より多くの老廃物を取り除くことができるのです。

長時間透析

週に18時間以上の透析を行います。 週3回なら1回6時間以上、隔日なら1回5時間以上といったスケジュールで行います。 透析時間を伸ばすことにより十分な透析が行われ、より多くの老廃物が排出されたり十分な除水が行われるのがメリットです。

頻回透析

隔日や連日で透析する方法です。 規則正しいスケジュールで、通常の透析スケジュールだと必ず発生する中日が発生しないため、良い体調を維持しやすいというメリットがあります。

オーバーナイト透析

夜間の睡眠時間を利用して7~8時間透析します。 透析を開始して寝てしまえば、透析時間を短く感じます(体感透析時間は1~2時間くらいと言われています)。 また、長時間透析となりますので、穏やかな除水ができ、透析中の血圧が安定したり、より多くの老廃物が除去できるといったメリットがあります。

在宅血液透析(HHD)

透析施設と同じ機器を自宅に設置して、医療施設の指示に従って自分で透析を行います。 好きな時間に透析をすることができ、回数も自由に決められるので頻回や長時間の透析も可能ですが、患者様および介助者が医療施設において十分な教育訓練を受ける必要があります。

肥満の予防

太り過ぎていないでしょうか? 肥満になると腎臓に流れる血液の量が増えて、腎臓に負担をかけることになります。 また、たんぱく尿の要因にもなります。 塩分や脂質の摂り過ぎに注意をして、バランスの取れた食生活を送るようにしましょう。

感染症に注意しましょう

風邪や泌尿器の細菌感染が腎臓病の原因になることもあります。 うがい・手洗いを習慣とすること、毎日入浴して清潔を保つことを心がけましょう。

腹膜透析について

血液透析に比べるとそれほど普及しているわけではありませんが、自宅でも行える透析方法として腎不全の患者様の選択肢となっているのが<腹膜透析>です。

腹膜とは、肝臓、胃、腸などの内蔵表面や腹壁の内面を覆っている膜のことです。 この膜に囲まれた空間を腹腔と呼びます。 手術によっておへその脇に穴を開けて腹腔へカテーテルを通し、そこから透析液を腹腔に溜めます。 腹腔内に透析液を一定時間入れておくと、腹膜を介して血液中の老廃物や塩分、余分な水分などが腹腔内の透析液側に移動します。 老廃物や水分などが透析液に十分に移行した時点で透析液を体外に取り出すことで、血液がきれいに浄化されます。

腹膜透析には、<CAPD:連続携行式腹膜透析>と、<APD:自動腹膜透析>の2種類があります。 CAPD、APDのいずれかにするかは、医師と相談しながらご自分の生活スタイルや病態に最も合うものを選択するようにしましょう。 途中で治療法を変更することも可能です。
HDとの併用も可能です。

CAPD:連続携行式腹膜透析

1日に3~5回透析液を交換します(バッグ交換)。 1回の交換にかかる時間は約30分です。 患者様の生活リズムに合わせて、朝・昼・夕方・就寝前などに、患者様本人やご家族(介助者)が透析液の交換を行います。

APD:自動腹膜透析

主に寝ている時間を利用して自動的に透析液の交換を行う方法です。 日中の自由時間をより多く確保するために開発された方法であり、毎日の通学や通勤が必要な方々を中心に、腹膜透析患者の約40%がこの方法で治療を行なっています。

腎臓移植について

腎臓移植とは、他の人の腎臓を体内に移植することであり、失ってしまった腎機能を回復できる唯一の治療法です。 しかし、つらい透析治療から開放される一方で、それなりのリスクが伴います。 他人の腎臓を自分の体内に移植する際には、免疫学的に一致する一卵性双生児間での移植以外は、大抵の場合拒絶反応が起こります。 移植された腎臓を異物と判断して、排除しようとするのです。そのため、移植前に体の組織の適合性を調べ、相性の良い相手を探すことから始まります。

さらに、拒絶反応を抑えるため、腎臓移植を受ける側の患者様の免疫力を下げる処置が必要となります。 そのため、手術後は免疫抑制剤を毎日服用します。 手術後10~20年ほどは免疫抑制剤を常に服用しなければならないので、健康な人よりも感染症にかかるリスクが高まります。 また、薬を服用している間は合併症にも注意が必要です。

腎臓移植には、脳死・心停止された方から腎臓の提供を受ける<献腎移植>と、親族から腎臓提供される<生体腎移植>の2つの方法があります。途中で治療法を変更することも可能です。

献腎移植

脳死・心停止で亡くなられた方から腎臓の提供を受けて行われる移植のことです。
腎臓移植を希望する場合には、臓器移植ネットワークに登録して移植を待つことになります。
いつ適合する提供者(ドナー)が現れるか分からないので、いつでも手術を受けられるように体調を整えておく必要があります。

生体腎移植

拒絶反応を抑えるため、遺伝子的に近い親子や兄弟間で移植が行われることが多い方法です。
人間の腎臓は左右に1個ずつあり、健康な腎臓であればどちらか1つだけでも生きていくことが可能です。
そこで、健康な人の腎臓を片方取り出して、腎臓病の患者様に移植します。